フォートレスとは、本来は城塞を意味する言葉である。狭義には砦や城塞を警備・守護する重装騎士を指し、ひいては冒険者の職能としても、敵の攻撃を受け止める事に特化した重戦士の事を意味する。
　戦場においての彼らは、まさに味方を守る鉄壁の要塞である。被害そのものを軽減するよりも、自ら受け止める事に特化した能力を持つ彼らの姿には、歴戦の傷痕を帯びた質実剛健たる古城のありようを想起させられる者も少なくはない。盾を活かすのではなく、自ら盾となる不退転の覚悟こそが、彼らを城塞の騎士たらしめていると言えるのだろう。
　多くの場合、彼らは武器としては無骨な鎚を好む。華々しい剣よりも、多くの敵に確実に打撃を与えんとするためだ。何よりも堅実さに重きを置くのもまた、要衝たる城塞の守備を任される彼らなりの流儀と言えるのかもしれない。
　彼らの中には、自らが攻撃を受ける事こそ矜持であると考えている者すら少なくない。無辜の者、共に戦う仲間に変わって自らが傷を負う事こそ、自らの存在意義であると奮起するのである。それこそはまさに城塞そのもののありようと言えるだろう。