吟遊詩人。何者にも縛られず流離う彼らこそ、生来の冒険者と呼ぶに相応しい存在と言えるであろう。
　迷宮を探索するにあたって、彼ら自身は怪物を討ち倒す力にも、仲間たちを守る力にも乏しい。しがない歌唄いにそれらの力を期待するのも無理というものであろう。しかし、彼らの歌は仲間たちを勇気づけ奮い立たせ、時には魔法のような効果すら発揮する。何となれば、それは彼ら吟遊詩人のみに口伝される呪歌と呼ばれる歌であるからだ。
　誰しも歌によって心が揺さぶられた事はあるだろうが、呪歌はそれをさらに推し進めたものと考えても差し支えない。心を奮い立たせる歌によって精神が肉体を凌駕し、本来持っている以上の力を聞き手にもたらすのだ。その場の仲間たち全てに聞こえ渡り力を与える歌は、特に強敵との長期戦においてはパーティの力を大きく底上げする協力な武器となるであろう。